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政治とカネ 企業なら「知らない」で済まない(産経新聞)

 政治不信がまたも大きな課題になってきている。政治とカネ」の問題はいつも大きな問題になるが、解決できていない。特定の政治家を非難しようとは思っていないが、このままでは「政治とカネ」の問題はずっと継続してしまう。

 司直に任せるのみならず、政治家、政党、国会自らが疑惑の解明と国民への説明責任を果たしてほしい。それなくして、いかに政治資金規正法などの改正を繰り返しても、再発を食い止めることはできない。

 「政治とカネ」の論戦で論点が外されていることがある。「知らない責任」だ。「知らない」ことが「自分は関係ない」ということに直結する構図がおかしい。自分の秘書が政治資金規正法に違反しても「秘書が悪い」というだけになってしまう。「知らない」こと自体が大きな問題だ。

 企業で問題が起きると、お客さまにも迷惑をかける。担当者が不祥事をしたというだけで済まない。全責任を負うのがトップだ。株主の委託を受けている取締役は大きな被害を出したら、「知らない」では済まない。

 不祥事が起こると、被害はお客さまにも株主、社員にもどんどん膨れあがる。そうなると、なぜ早く止められなかったのかということになる。次に「二度と起こらないようにするには」となる。真剣に再発防止をやらなければならない。この3つの責任がある。

 不正行為や不祥事は最初は小さい話だ。架空取引は最初は50万円とか、10万円程度から始まる。ところが、管理職が気付かないと「もう1回」となる。歯止めがきかず、何十億円、百億円になってしまう。そうなると、会社がその人を告訴することで本当に済むのか。見過ごしたことは会社が加担したのに等しい。

 途中で止めさせるには、経営責任者がルールを作り、管理しなければならない。チェックしていれば気付く。そういう仕掛けがなければ駄目だ。末端のルールをどんなに改正したって、管理者や経営者のチェックがなかったら同じだ。

 野党の追及も全く迫力がない。国会も「道義的責任」とか、分かったような分からないような話でやりとりするから訳が分からなくなる。未然に事件が起こらないようにし、再発を防止することが大事だ。その時に「管理責任者が知らないでは、済ませられない責任というのがある」という前提で議論すれば、もっと歯止めがかけられる。

 責任を取るためには、すぐに辞めればいいという話ではない。経営者は実際にどんなことが起きたか、社内の調査委員会を作るとかして徹底的に調べる。それによって、決して社員がやったことの悪さだけに注視するのでなく、いったいなぜ発見できなかったのか。マネジメントが機能していたのかを検証すべきだ。

 政治資金規正法を改定して「1円の領収書まで出せ」といくらやっても疑問だ。下手に厳しいルールにしてしまうと、管理コストがものすごくかかる。

 今のルールでもちゃんとやっている人と、やっていない人の違いは何かを見るのも重要だ。たとえ、「知らなかった」ことで身の潔白を示しても、「知らなかった」こと自体が問題を大きくし、政治不信を招いている。「知る体制」の強化を図り、再発防止に努めないと、取り返しがつかなくなる。要はトップの問題である。(河合雅司)

 ■桜井正光・経済同友会代表幹事 昭和17年、東京都生まれ。早稲田大学第一理工学部卒業後、リコーに入社。社長を経て19年4月から会長。同年4月、経済同友会代表幹事に就任。

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